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東浩紀著「弱いつながり 検索ワードを探す旅」-読むと動き出したくなる、今の時代に視点を広げるための手引書


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気付けばSNSを開き、友人とやりとりを楽しんでいてついつい時間がすぎて。
でも、Twitterのような「ゆるいつながり」は心地いいんだよね~。

なんてことはありませんか?

しかし、そんなネットこそが今の時代にもっとも強力に「階級」「所属」を固定する存在だとして本書は始まります。

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確かに考えてみればそうです、SNSは自分が属するコミュニティを視覚化し、そのつながりをより深めていく働きを持っています。

また「ネットで新しい情報を手に入れた!」と感じても、それはあくまで自分が所属するつながりで知ったものだったり、もしくは自分がいる環境から検索されたことがらです。
何でも調べられると勘違いしがちですが、Googleは私達の検索の履歴を把握し、そうであろうという結果を出してきているのです。

検索ウインドウに一文字いれただけで、「そう、これこれ!」となった経験、一度ではないはず。

もちろん、深い人間関係や、検索の便利さは必要なものです。
しかし、そこにいすぎるせいで、自分のまわりに広がるもっと広い世界に気づくことができないということも同時に起こるわけです。

それを避けるため、新しい世界に気づくための方法として本書では「環境を意図的に変えること」が有効であると説きます。
本書で面白いのは、「環境を変える」で思い浮かぶ「旅」だけでなく、一般的には軽いイメージでとらえられがちな「観光」についても良しとしているところです。

環境を変え、そこで生まれる「偶然性」という「弱いつながり」に身を任せてみることの重要性。
いつもの環境を離れることでしか思いつかなかった「検索ワード」を手に入れること。

その他にも、著者の専門分野である哲学、チェルノブイリ・フクシマを「観光地」にすることの意味など、あたかも旅に出ているような感覚を味あわせてくれるとともに、実際に足を運ぶことの大切さを痛感させてくれます。

観光中はネットに接続して気になったことはどんどん検索しつつ、しかしいつものSNSは徹底的に無視するというスタンスは、今の時代ならではだな、と思ったりして。

個人的にこのところ感じていたことにぴったりとくる部分があり、内容を咀嚼しながら発売から何度か読み直しています。

内容自体は軽くサラッと読めるのですが、読むたびに多くの気づきを与えてくれるんですよね。



もう一つ面白かったのが、旅(観光)は目的地ではなく、そこへの往復の時間の思索に意味があるのだというお話でした。

私の個人的な体験として、学生時代にヨーロッパをあてなく旅した際に様々なものを見たのですが、その瞬間には大きな感動はなく、自分の心が閉じているのかなぁと感じてしまっていたのです。

しかし、今になって考えると、有り余る移動時間はずっと何かを考えていました。
またその時にずっとノートを書いていたおかげで、今でもその時のことを思い出せるのです。


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今になって、むしろその時考えていたことが今の自分を形作っているのかもしれない、とあらためて気づかされたような気がしたりして。

ここで紹介した内容は全体のほんの一部ですが、気になった方は是非本書を手に取ってみることをオススメいたします。

グーグルが予測できない言葉を手に入れよ! 統制されたネット時代に「かけがえのない生き方」は可能か?著者初の挑発的人生論

人間関係を大切にするな! 友人に囚われるな!

「かけがえのない個人」など存在しない。私たちは考え方も欲望も今いる環境に規定され、
ネットの検索ワードさえもグーグルに予測されている。
それでも、たった一度の人生をかけがえないものにしたいならば、環境を意図的に変え、
グーグルに与えられた検索ワードを裏切っていくしかない。
それを可能にするのが身体の移動であり、旅であり、弱いつながりなのだ――。
人生に自由と強度を与える「偶然性」と「ノイズ」へ向かう道筋を示す。

目次
0 はじめに――強いネットと弱いリアル
1 旅に出る 台湾/インド
2 観光客になる 福島
3 モノに触れる アウシュヴィッツ
4 欲望を作る チェルノブイリ
5 憐れみを感じる 韓国
6 コピーを怖れない バンコク
7 老いに抵抗する 東京
8 ボーナストラック 観光客の五つの心得
9 おわりに――旅とイメージ

via:Amazon.co.jp: 弱いつながり 検索ワードを探す旅: 東 浩紀: 本


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