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身の回りに存在する問題を見つけ出し、解決する。ジェームズダイソンアワード2015国内受賞式で感じたこと。


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私たちの身の周りには、様々な問題があります。
人間は長い歴史の中でアイデア、工夫、技術でそれらを解決してきました。

そして現代、その解決方法としてエンジニアリングやデザインという言葉が注目されるようになりました。

その代表者の一人とも言えるのが、ジェームズ・ダイソン氏。
彼はそれまでの紙パック式掃除機がゴミを吸い取るほどに吸引力が落ちてしまうという問題を発見しエンジニアとしてその問題を解決し、全く新しいサイクロン型掃除機を作り上げたのでした。

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そのジェームズ・ダイソン氏が2002年にデザインとエンジニアリング分野の教育を支援するためジェームズダイソン財団を設立し、2005年から「ジェームズ ダイソン アワード」という、次世代のデザインエンジニアを称え、支援し、育成するための国際デザインエンジニアリング アワードを開催しています。

ホームページ – ジェームズ ダイソン アワード
http://www.jamesdysonaward.org/ja/

テーマは毎年共通で
問題を解決するものをデザインしてください
というもの。

応募資格があるのは「プロダクトデザイン、工業デザイン、エンジニアリングを専攻する大学生・大学院生または卒業後4年以内の卒業生」というこちらのアワードの2015年度国内表彰式が開催されるということで参加してまいりました。

今年は全20カ国から710の作品が集まり、日本からは35作品と昨年を上回る応募があったそうです。
その中から選ばれた本年度の国内受賞作品は以下の作品になります。


LIGHT STRAP

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地下鉄での災害において「安全+安心な非難を」というテーマで作られたつり革。

キーワードは「共助」
停電してしまった駅構内、夜間の非難などで乗客が灯りを持つことで共助を促すことができる、というもの。

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振動による発電を行い普段は電車の揺れで充電、非常時にロックが解除され、つり革を引っ張るだけで使用することができる、というもの。


YaCHAIKA

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「足疲れた、もう歩けない…」という女性のセリフを聞くことがあります。
現代においてハイヒールはファッションとして確立しているため、履かざるをえないという状況になっている。

そこで履いたほうが快適になるハイヒールを目指してこちらを考案。
ハイヒールを置き換えるというよりはTPOに合わせて選べる選択肢として考えた。

単なるフォルムだけでなく、いくつものパターンを作り実際に履いてデータを取りベストな形状を作り上げているそうです。

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まさにデザインとエンジニアリングの融合でできたプロダクトだなと感じます。

履き心地についての高評価がある一方で、奇抜な見た目などについての否定的な意見もあるのは確かだそう。しかし賛否両論あるからこそ解決しがいがあるとおっしゃっていた姿が印象的でした。

来年9月あたりをめどに一般販売を目指しているとのこと。


BICHIKU Faucet

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震災時の水備蓄の問題を解決するための蛇口。

震災時、漏水防止のため送水が止まってしまうので水の買い置きが奨励されているが、手間があるためなかなか普及していない。

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幾つかのパターンを検討し、井戸のポンプのように

1.止水弁を止める
2.レバーを回す
3.ポンプで水を汲み出す

家の中にある水を備蓄として活用するアイデア。
実現性についてはまだここから検討する余地があるそうですが、その手があったか!と思わされるアイデアでした。


AI搭載排泄検知シートLifilm

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介護実習中に排泄解除で、お腹を押して排泄をさせていた。これ自体は仕方ないという部分もあるが、一方で「オムツを開けずにオムツの中を見たい」という現場の声があった。

オムツ交換の空振り(開けてみたものの排泄なしの状態)が30人で月50時間以上かかり、この問題を解決したいと考えたそうです。

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そこで考案されたのがにおいセンサーで尿と便の検知が可能なシート。
設置が簡単で、身体装着を必要としない。

排泄検知器自体は90年代から存在したが、検知率の低さから普及に至っていなかった。しかしLifilmは人工知能を搭載することで、個々人の特性に合わせた調整が可能になるそうです。


解決方法はもちろん、それより重要な問題発見力

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まず私が感じたのは、どの作品を見ても一目でどのような問題をどのように解決するかが伝わってくるということでした。

こういった提案は結果だけ見るととてもシンプルなのですが、実はこの「問題をどう見つけるか」というのが一番難しいんですよね。
すでに見えている問題というのは誰かが何かしらの解決方法を探しているのですが、多くの場合問題は問題として認識されておらず、見過ごされているものがほとんどだったりします。
これをどう見つけ出して、効果的に解決するかというところがひとつ大きいポイントになります。

一方でこのジェームズダイソンアワードが他のデザインコンペと違つと感じるのがエンジニアリングに力が入っているところです。例えば今回受賞したLifilmだとすでに存在する匂い検知を人工知能と介護者からのフィードバックで学習させ、検知率を上げるというものになっています。

このデザインとエンジニアリングの両輪というのがこれから先に求められるものなのかな、と感じました。

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またこれに加え、takram design engineering 代表の田川さんがおっしゃった「アイデアをどう製品化し、社会に入れるかということも求められている」という言葉も印象的でした。

私はデザイナーという仕事についているのでデザインという視点から言うと、当初は表装を綺麗にすることと思われていた「デザイン」が、モノのあり方を検討するようになり、さらにエンジニアリングや、起業・マーケティングの視点が必要とされるようになりました。
これはエンジニア側、起業家側から見ても同じことが言えると思います。

一人ですべてのことができてしまうスーパースターはもちろんいるのですが、多くの場合はお互いがお互いの視点を理解し協力して新しいものを作りあげていく「共創」が重要な時代になっています。


個人的な話でいうと私の場合は「ラクガキ」がこれらの人をつなぐ懸け橋になればいいな、なんて思いながら講座を開催したり、ブログで発信したりしているんですよね。

若い才能に感嘆しつつも、自分にできることを一つ一つ積み上げていこうと思ったイベントでした。


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