絵心がないと悩む人でも一瞬で100の表情が描けるようになるラクガキテクニックとちょっとしたコツ【emography(エモグラフィ)】
子供の頃から絵を描くこと(ラクガキ)が大好きでした。
とはいえ、絵を仕事にする画家や漫画家になりたいというのはあまりなく、ただ単に絵を描くことが好きでテストの裏紙やノートや手帳に描いたりがほとんど。
それもあって「これは自分が楽しむためのラクガキなんですよ」といい続けてきました。
そんなある日、このブログで私のラクガキを見てくれた知人の「僕も絵を描けるようになりたいんです!」というリクエストに応えるために「ハッピーラクガキライフ」というラクガキ講座を開催することになりました。
今回はその講座の中でも一番キャッチーで多くの人に喜んでいただいている「絵が苦手な人でも一瞬で100の表情が描けるようになるテクニック」をご紹介したいと思います。
人間の表情を構成する要素
人間には人の顔にとても敏感に反応する本能が備わっています。この現象のことを「シミュラクラ現象」といいます。
▼点3つが顔に見えることを「シミュラクラ現象」と呼ぶそうですが、誰かのことを想うには想像力が必要
そして点が顔に見えるのと同じくらい、人間は本能的に顔から表情を読み取ろうとします。
この時、人の顔を構成するパーツは様々あるのですが、表情に関わるのは「口、目、眉」のたった3つなのです。これをそれぞれ5個、5個、4個使うことで表情を描こうというのがこのテクニックのキモです。
5×5×4=100個の表情!
というわけで次の5+5+4=14のパーツをおぼえ、組み合わせるだけで100の表情が描けるようになります。
14も!?と思われるかもしれませんが、いずれもとても簡単です。
口は5つ「あ、い、う、え、お」
目も簡単な5つ
眉毛はこの4つ
そしてこのパーツを組み合わせます。
ここからは是非実際に描いてみていただきたいのですが、これだけのパーツでも表情だとしっかり認識できますし、少しパーツを変えるだけでもその印象がガラリと変わるのです。
例えば下の絵は真ん中の顔から口の形、眉の形を変えただけで全く違う表情になっているのがわかります。
また、この14のパーツは汎用性が高いものを組み合わせているだけなので、一つパーツを加えるだけでバリエーションはどんどん増えていきます。
とにかくまずはその辺の紙に描いてみてください!
はじめのうちは考えるよりとりあえず描いてみるのがいいでしょうし、慣れてくると頭の中で組み合わせてから描けるようになるはずです。
表情が描けるようになるとこんな風に使えます
あくまで一例ですが、私の場合はこんな風に使っております。
ノートやメモの中で要点を目立たせる
先ほど人間が顔に敏感と書きましたが、文字で書かれたノートの中に人の顔があると思わず目が止まります。
これを利用して、まとめや大事なポイントを表情とともに描き込むことで見返したり人が見たときのガイドになります。
実際、私のラクガキノートの中でもこのテクニックはかなり使っています。
ただの言葉だけでなく表情を組み合わせることで、第三者に私の感じたワクワク感やキーワードへの自信を感じさせることができます。
元記事:デジタルフォトアルバム「おもいでばこ」が家族や子供写真の保存・管理と楽しみ方を簡単に!開発者にお話を聞いてきました
ノートの全体像を見ることでさらに実感していただけるかと思います。
メッセンジャーや手紙でのスタンプ代わりに
LINEがあれだけ流行った理由の一つがスタンプだとよく言われますが、事実スタンプは言葉以上に情報の豊かさを持ちます。(もちろん言葉の正確性という良さもありますが)
ただ、ほとんどの場合スタンプは他人が使用したものを使うことになりますし、原則LINEのスタンプはLINEで、FacebookのスタンプはFacebookのみで使えます。
ですがラクガキであれば、描いた人の気持ちにあったオリジナルなものになります。ちょっと描いて写真に撮って送れば、言葉以上の気持ちを伝えられます。
もちろんスタンプの手軽さに比べれば少し手間になるかもしれませんが、一手間かけても伝えたい大切なメッセージというのもまたありますよね。
「あの人」の喜ぶ姿を実際に描いて思い浮かべてみる
ビジネスの現場などではお客様のことを考えるために、具体的な相手を「ペルソナ」というカタチで設定することがあります。
ただ、一般的には顔写真が貼ってあるだけで、その相手がどんな風に喜んだり満足するかをイメージしにくいことも…
そんな時に簡単にでも表情を描いてイメージすると、ただ言葉で「喜んでいる」と考える以上のイメージが湧いてきます。
こうやって相手のことを思い浮かべるというのは普段のコミュニケーションはもちろん、ブログだったり、ビジネスだったりいろんな場所で大事なことだとおもうんですよね。
子供とお絵描きで遊ぶのに大活躍
表情のいいところは、子供が見てもわかるところです。
漢字はおろか平仮名ですらわからない状態でも、表情はわかりますし、それを呼び水として子供ながらの自由な発想を聞かせてくれます。
例えばこちらはそんなやりとりから生まれた一枚
人を描く→「どんな気持ちだろう?」→「ちょっとおこってる」→「どうして?」→「んー、おばけがでてくる強い発明品を作ったから」→「どんなおばけ?」→「目が赤いゾンビ」みたいな感じ。
この時は絵を描くよりも子供の発想を広げる方向でしたが、これも一つの表情から始まったわけです。
子供とのお絵描きはこちらの記事もどうぞ
子供とお絵描きをする時、できれば使うべきではない2つの言葉とその対策
感情表現記法「emography(エモグラフィ)」
このように人の表情は記号のように描くことができ、これをベースとして様々なアイデア発想や自己対話のメソッドに展開が可能です。
そこで私はこの表情を描くメソッドを、emotion(感情)+graphy(記法)で「emography(エモグラフィ)」と名付けました。
このエモグラフィは、普段の生活はもちろんビジネスや教育といった様々な場所で活用可能です。
そしてなにより、この「エモグラフィ」が有効な理由というのが、「絵を理解できる能力」という誰しもが持つ「絵心」なのです。
今回ブログでご紹介しようと思った理由と私の中の変化
ここから先はちょっと余談なのですが…
当初ラクガキ講座を開催するにあたり「いわゆる上手な絵の描き方」を私が教えるのは難しいな…と思っていました。その内容ならもっとできる人がいるよな、と。
そもそも私のラクガキが「いわゆる上手」とは違うベクトルだと自覚しているのが理由なのですが、見方を変えて「絵を描く楽しさを伝える」のなら自分にしかできないことがある!と開催に至りました。
ただ、この時に考えたのは「絵を描く楽しさは描くことでしか伝わらないんじゃないか…」ということでした。なのでこのテクニックについてもあえてブログのネタにはせず、講座や直接会った人に伝えるのがほとんどでした。
でも、当初からコンセプトは「もっともっと多くの人に絵を描くって簡単で楽しいと思ってもらいたい!それによって色んな人のアイデアが表現されるようになったら、この世界がもっと面白くなるはず!」という願いでしたし、たとえテクニックから入ってもそれが達成されないわけじゃない!と考えるようになったのです。
すると不思議なことに、そういう時にチャンスってやってくるんですよね。
「ラクガキノート術」という本を出します
ちょうどそのタイミングでひとつのお話をいただきました。
それが「ラクガキノート術というテーマで本を出してみませんか?」というものでした。
それまでの私であれば「本で伝わるのかな…」と思うところだったのですが、逆に本という形になることで違う経路で伝えられたり、イベントに参加しなくても「こんなのでいいんだ」と思ってもらえたり、もしかすると全く想像もしてないことが起こるかもなと思えたのです。
本書では今回ご紹介した100の表情の描き方はもちろん、ノートに使えるちょっとしたラクガキテクニックや、私の描いたノートなどが掲載されております。
タイトルこそ「ノート術」となっておりますが、内容としては「色々なものを観察し、それを材料に色々と想像し、考えを表現して伝える手段としてのラクガキ」にフォーカスしていて、普段のノートだったり手帳にラクガキを組み合わせてみてはどうでしょう?という内容になっています。
どちらかというとコーネル式ノートや方眼ノートなど、いわゆるノート術をさらに豊かにするためにラクガキを使ってみてはどうでしょう、という提案です。
また、あらためてこの本に対する思いはこのブログでも発信していきたいと思っているのですが、ちょうど4月という新しいステージが始まる方も多いこの季節にラクガキをはじめてみませんか?
発売は3月25日になりますので、ご興味を持たれた方は是非手にお取りください!
「ラクガキノート術」についてはこんなお願いが!
2016年9月追記
新刊「アイデアがどんどん生まれる ラクガキノート術 実践編」が発売になりました!
よりビジネスなどに使えるカタチでラクガキを描いて、考えて、伝えるテクニックを紹介した内容で、全ページフルカラーと、とても読みやすくなっております。是非この機会に!