子供とお絵描きをする時、できれば使うべきではない2つの言葉とその対策
先日のことになりますが、お絵描き好きなお子さんをお持ちのお父さんお母さんのためのラクガキ講座「ハッピーラクガキライフ for ファミリー」というものを小さく開催してみました。
こちらを開催した理由は、友人や過去のイベントの参加者のお話を伺う中で
- 親が絵に苦手意識があると、子供のお絵描きにどう接していいか分からないらしい
- 過去参加者が家で絵を描いていると、子供が寄ってきて一緒にお絵描きをはじめた
ということが分かったので、いつものファーストステップ講座の内容で親の苦手意識を取り去りつつ、子供とどうやって遊ぶといいかのヒントをお伝えしたり、親同士が交流する会になればいいな、と思ったからです。
この時いくつかお話をしたのですが、ひとつが子供とお絵描きする時にできれば使うべきではない言葉のお話でした。
実は私の両親が美術方面の人間なので、これらのことって言われてみると自分が子供の頃から言われていた、逆にあまり言われなかったことなんですよね。
で、実際子供が生まれてから児童教育についての本などを読んでみると、まさにその通りのことが書いてあってなるほどなぁ、と思った次第。
おそらく自分の両親はこの分野に関してはそんな本は読んでないんじゃないかなー、という気が(笑)
というわけでその2つの言葉がどんなものかと言うと
- 自由に描いていいよ
- 上手だね!
というものです。
そう、かなり当たり前に使うような言葉なんです。
1.自由に描いていいよ
まれに「子供には自由な発想力・想像力がある」と誤解している方がいるのですが、それは違います。
確かに子供は自由に発想しているように感じますが、逆を返せば大人が持っている常識をまだ身に付けていないため、そこから外れたものを大人が「自由」と捉えているだけなのです。
そのため子供の中ではそれなりに秩序だっていたりするわけで。
なので「自由に」と言われても困ってしまうわけですね。
だって大人もなんであれ「自由にやっていいよ」って言われたら困るでしょう?
それと同じことです。
そう考えると「自由に描いていいよ」は、親の責任放棄にも近いのです。
もちろん自由に書き出したときには全力で乗っかってあげましょう!
対策:親が呼び水を与えてあげる
先ほどの話からつながりますが、子供は常識にとらわれていない分、きっかけを与えるとどんどん自分で発想したり表現してくれます。
なので描き始めに困っているような時は
「今日は赤を使って絵を描いてみよう!」とか「いっぱい丸を描こう!」とかきっかけを与えてあげるのが有効です。
また何かを描きだしたようなときには、親から積極的に「これは何?」と聞いてあげるのもいいですね。
こちらについてはイベントに参加してくださったブログCo-NAVI(子ナビ)の運営者のっちさんが試してくださいました。
子どもの落書きにストーリーをつけてあげることで、その展開は無限大に。ということで、子どもがひたすら丸を書いていたので「それは何?」ときいたところ「お部屋!」とのこと。
そこで、ゾウやブタやカエルを描いてあげたところ「なんだー、お部屋じゃなくて動物園だったんだね!」といって、動物たちをまるで囲い始めました!
これか!これが落書きから生まれるコミュニケーションか!!と、実感しましたよ。
もちろんですが、親も一緒に楽しむことって大事ですよね。
2.上手だね
さて、絵が描けてくると褒めてあげたくなるのが親の常。
とすると普通にかける言葉が「上手だね」になるのではないでしょうか?
ただ、考えてみてください、絵に苦手意識を持つ大人が一番はじめに言うのが
「自分は絵が上手じゃないんで…」
なんですよね。
心当たりはありませんか?
つまり、自分自身を縛っている言葉を、そのまま子供に言ってしまってるわけなんです、しかも良かれと思って。
これにはいくつかの原因があるのですが、その1つが一般的に「絵が上手い」というのはいかに「対象とそっくりであるか」を指すせいだと思うのです。
写実的な絵の方が一般的な「上手い」になるのもそのためです。
で、実は子供もそう捉えているところがあって、だからキャラクターの絵を自分よりそっくりに描ける大人に「描いて!」と頼んでくるわけです。
大人になれば「上手い」は一方向の価値観ではないということがなんとなく分かるのですが、子供にそれを求めるのはちょっと難しいです。
なにより親は子供にとっての絶対的評価者なわけですから、「上手だね」と褒められたら「次も上手(≒そっくり)に描こう!」と思ってしまいます。
で、結果は想像に難くないですよね?
対策:褒めるべきは「絵」ではなく「描いたこと」
「上手だね」という言葉は「絵に対する評価」です。
評価は上位下位の概念を持ちますし、人間誰だってーもちろん子供であってもー下にはなりたくないものです。
ここでかけるべき言葉は評価ではなく肯定の言葉です。
「〇〇ちゃんと一緒に絵を描くのは楽しいな!」
「お父さん(お母さん)は〇〇ちゃんの絵を見るのが好きだな!」
といった具合に。
つまり「絵を描いてもいいんだ!」と思わせることのほうが大事なのです。
もちろん評価も時には大切なものですが、それはしっかりと肯定した後でかけるべき言葉なんですね。
また評価であっても「上手」という技術的な面が強調されたものだけでなく、「こんな風に描くなんておもしろいね」といった発想面を褒めたり、描き込みに対して「よくこうなってるって分かったね」といった観察したことを褒めるなど、バリエーションを持たせるといいのではないでしょうか?
こうやってちょっとした言葉遣い・態度で、子供がのびのびと絵を描く方向に向かってくれます。
実は私が大人向けに開催している「ハッピーラクガキライフ ファーストステップ講座」も根っこの部分はこれと同じなんですよ。
さて、このイベント「ハッピーラクガキライフ for ファミリー」の様子を新米パパにしてわんぱくブロガーむねさださんがブログに書いてくれました。
タムカイ主催のハッピーラクガキライフforファミリーで子どもと楽しむラクガキについて教わったぞ! | むねさだブログ
http://munesada.com/2014/03/31/blog-2889
友人の贔屓目もあるかもしれないですが、イベントレポートの丁寧さはピカイチだと思います、わんぱくなのに(笑)
この講座自体も、親向けに続けてみたいという思いがありつつ、子供と一緒に絵を描くワークショップ的なものをやってみたいなと思ったりもしています。
そして最後に、私がイベントの際に配ったレジュメ代わりの絵を貼っておきます。
これは私がいくつかの技法をミックスして考えた「スパイラルマップ」と呼んでいるもので、自分のための発想に使ったり、人にイメージを伝えるために最近よく描いているものです。(あ、誤字がw自身じゃなくて自信ですね><)
右下から上に上がっていくよう進んでいきます。
いずれこれの描き方講座かワークショップをやりたいな、と思っていたりするのですが、それはまた別のお話(笑)
というわけで、今回の内容をまとめると
- 子供任せじゃなく、大人も一緒に楽しむことで創造性を引き出してあげる
- 大事なのは「評価」よりもまず「肯定」
ということになります!
※ちょっとだけ追記
「自由でいいよ」や「上手」を使ってしまったと反省されるコメントをチラホラ見かけたのですが、どちらも禁止ワードというわけではなく、使う意味を考えてみましょうという感じですね。
どうすれば、どう言ってあげれば子供が喜ぶか、ちゃんと向き合って言葉を選ぶのが一番だと思います。
なので「できれば使うべきではない」というよりは「安易に使うべきではない」が正しいのかも、とコメントをみてさらに考えることができました。ありがとうございます。
良いラクガキは人生をたのしくしてくれます!
あなたもハッピーラクガキライフをはじめてみませんか?
こちらは私の本「ラクガキノート術」という本になります。
ノート術というタイトルではありますが、大人も子供も含めもっと多くの方に絵を描いて欲しいと思い、絵に対する苦手意識を解きほぐすところから、ノートという身近なスペースからでも絵をかいてみませんか?という内容になっております。
親御さんにはお子さんへの声掛けのヒントにもなるかもしれません。
もし、ご興味を持たれましたら是非お読みください。
2016年9月追記
新刊「アイデアがどんどん生まれる ラクガキノート術 実践編」が発売になりました!
よりビジネスなどに使えるカタチでラクガキを描いて、考えて、伝えるテクニックを紹介した内容で、全ページフルカラーと、とても読みやすくなっております。是非この機会に!