たまごっちの墓場と涙の行方【ラクガキ×ラクブン Returns06】
たまごっちと言う玩具をご存知だろうか。
いや、ご存知どころか結構必死になって手に入れた人も多いかもしれない。
タマゴのような筐体に、荒いドットの画面と、ゴムでできたボタンが3つ。
先ほど気になって調べてみたところ、初代の発売は1996年。
その翌年の大ブームと急転落のあと、今も進化を続けているというから驚きだ。
私はドンピシャで初代のブームに重なったわけだが、ちまたでプレミア価格が付いているのを横目に、友人が親の仕事の都合で手に入れた白いそれを定価で入手し、散々遊び倒して満足したところまでは記憶にあるのだが、その後どこへしまいこんだのかはさっぱり覚えていない。
さて、この初代「たまごっち」
今では考えられないほど情報量の少ない画面だったため、プレイする人には知らず知らずのうち、かなりの「想像力」が要求された。
色も細かさも無い液晶の画面なのに、多くの人が夢中になり、自分の育てたキャラクターを愛していた。
こんなゲームだからこそ、単なるシステム上のイベントとして必ず訪れるだけの「死」に心を痛めた人が多くいたようだ。
インターネット上には仮想の墓地が構築され、時に自らのキャラクターの死に涙する人の様子がテレビで放映されたりもした。
時は流れて現在
私の興味は進化したゲームではなく、あの頃、手の中の死に涙した人たちに移っている。
今、彼ら彼女らは何に興味をもち、何に涙を流しているのか。
あの頃のことをどう思っているのか。
ある人は「ゲームなんかに涙した自分が恥ずかしい」と言うかもしれない。
しかし、私としてはこんなゲームにすら「死」を感じ、涙を流すことのできた自分を恥じないで欲しいと思う。
人を思いやることができるかどうか
そのために必要な「想像力」
あの時、確かにその力を持っていたのだから。
「ラクガキ×ラクブン」は2012年に日曜アーティストの工房のTOMAKIさんと行ったコラボプロジェクトです。お互いがラクガキを送りあい、そこから勝手に文章(ラクブン)をつけるというもの。
二人の右脳と左脳のコラボレーションをお楽しみください。
本記事はブログ「切り抜きジャック」よりの再掲となります。
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